相場の黄金ルールの概要
エド・カールソンはリンジーの分析方法を現代でも通用すると考えているのか?
エド・カールソンはリンジーの分析方法を現代でも通用すると考えています。
カールソンは、リンジーの分析手法には現代でも価値があると確信し、リンジーの死後20年以上経った後も、様々な資料を集め研究を行いました。 彼の研究の成果は、この書籍にまとめられています。
その理由として、カールソンは、リンジーの分析手法が、現代のテクニカル分析の代表的な手法であるトム・デマークの分析手法と共通点が多いことを挙げています。 デマークの手法は、複雑な計算式や指標を駆使する高度な分析手法ですが、リンジーの手法も、同様の市場原理に基づいており、その本質的な価値は変わっていないとカールソンは考えています。
また、カールソンは、リンジーの分析手法が、デマークの手法に比べて、単純明快で分かりやすく、個人投資家にとって取り組みやすい点も評価しています。 リンジーの手法は、相場の上げ下げの形状と日柄のカウントに重点を置いており、複雑な計算やコンピューターを必要としないため、手作業で分析することが可能です。 これは、現代のように情報過多で複雑化した市場においても、大きな利点と言えるでしょう。
さらに、カールソンは、リンジーの分析手法が、現代のアナリストが陥りがちな短期的な視点ではなく、長期的な視点から市場を分析している点を高く評価しています。 リンジーは、市場には一定のリズムやサイクルが存在し、それは長期的な視点で捉えることで初めて見えてくると考えていました。 これは、短期的な価格変動に翻弄されがちな現代のトレーダーにとって、重要な教訓と言えるでしょう。
カールソンは、リンジーを「時代の先を行っていた」人物として評価し、彼の分析手法が、現代の金融市場においても、有効な分析ツールであると信じています。 リンジーの分析手法は、現代のテクニカル分析と比較しても、独自性と深みを持つものであり、その研究と実践を通して、多くのトレーダーが市場への理解を深めることができるとカールソンは考えているようです。
現代の投資家にとってのリンジーのテクニカル分析手法の意義
ジョージ・リンジーのテクニカル分析手法は、現代の投資家にとっても以下の点で重要な意義を持ちます。
- 長期的な視点の提供 : 現代の投資家は、短期的な利益に目を奪われがちですが、リンジーの手法は、15年、12年、8年といった長期インターバルを用いることで、市場の大きな流れを把握し、長期的な視点で投資判断を行うことの重要性を教えてくれます。 これは、短期的なノイズに惑わされず、腰を据えた投資を行う上で非常に重要です。
- 市場心理への深い理解 : リンジーは、市場の動きは人間の心理に大きく左右されると考えており、彼の分析手法には、群衆心理や市場参加者の行動パターンが深く織り込まれています。 特に、「3つのピークとドーム型の家」パターンは、市場の天井圏における投資家の心理状態と価格変動を捉えたものであり、バブル崩壊などの大きな転換点を予測する上で役立ちます。
- シンプルで実践的な手法 : リンジーのテクニカル分析手法は、複雑な計算や指標を必要とせず、チャート上の価格と日柄をカウントすることに基づいています。 これは、現代の投資家にとっても、理解しやすく、実践しやすいという点で大きなメリットです。 また、コンピューターを使わずに手作業で分析できるため、自分の頭で考え、市場を深く理解することにつながります。
- 普遍的な市場原理の適用 : リンジーの分析手法は、特定の市場環境に依存するものではなく、市場に普遍的に存在するリズムやパターンに基づいています。 これは、時代が変わっても、市場の本質は変わらないということを示唆しており、彼の分析手法は、現代の金融市場においても、その有効性を失っていません。
現代のテクニカル分析は、高度な数学的モデルやコンピューター分析を用いたものが主流となっていますが、リンジーの提唱するシンプルながらも深い洞察に満ちた分析手法は、現代の投資家にとっても、市場を理解し、より良い投資判断を行う上で貴重な指針となるでしょう。
リンジーが活躍した時代背景と金融・市場環境
ジョージ・リンジーが活躍した時代は、1950年代から1980年代にかけてです。この時代は、戦後の経済復興と成長、そして金融市場の変革期と重なります。リンジーの分析手法が生まれた背景や、その手法が現代にも通用すると考えられる理由を理解するためには、当時の時代背景と金融・市場環境を把握することが重要です。
戦後の経済復興と成長
- 第二次世界大戦後の世界は、米国を中心とした資本主義陣営とソ連を中心とした共産主義陣営による冷戦構造が形成されました。
- 米国は、戦勝国として世界経済のリーダーとなり、国内では戦後の好景気によって大量消費社会が到来しました。
- 1950年代から1960年代にかけては、高度経済成長期と呼ばれ、世界的に経済が大きく発展しました。
- この経済成長は、株式市場にも反映され、米国株式市場は長期にわたる上昇トレンドを経験しました。
金融市場の変革
- 戦後の経済成長と並行して、金融市場も大きく変革しました。
- ブレットンウッズ体制の崩壊(1971年)により、固定相場制から変動相場制に移行し、為替市場が不安定化しました。
- 金融自由化の進展により、金融機関の業務範囲が拡大し、新たな金融商品やサービスが登場しました。
- コンピューター技術の発展により、金融取引の自動化が進み、市場の流動性が高まりました。
リンジーが注目した市場環境
- リンジーが活躍した時代は、株式市場が長期的な上昇トレンドを経験する一方で、金融市場の変革による不安定な要素も抱えていました。
- リンジーは、このような市場環境の中で、市場に内在する一定のリズムやサイクルに着目し、長期的な視点から市場を分析する方法を確立しました。
- 彼の分析手法は、複雑化する金融市場において、市場の本質を見抜き、将来の動向を予測する上で有効なツールとして、多くの投資家に支持されました。
現代との比較:
- 現代の金融市場は、グローバル化や情報技術の進展により、リンジーの時代よりもさらに複雑化・高速化しています。
- しかし、市場参加者である人間の心理や行動パターンは、時代が変わっても大きく変わるものではありません。
- リンジーの分析手法は、人間の心理に着目し、市場に内在する普遍的なリズムやパターンを捉えることを重視しており、その本質的な価値は現代においても失われていないと考えられています。
ジョージ・リンジーの株式市場予測手法
ジョージ・リンジーは、株式市場の変動を捉え、予測するために、独自のテクニカル分析手法を用いていました。彼の分析は、長期的な視点と短期的な視点を組み合わせた多角的なアプローチが特徴です。
長期サイクルとインターバル
リンジーは、150年以上にわたる株式市場の歴史を分析し、長期的なサイクルとインターバルの存在を確信していました。彼は、市場には約15年周期で安値から高値へ、そして高値から安値へと移行するパターンが存在すると考えていました。
- 15年インターバル : 安値から始まり高値で終わるサイクルで、その長さは約15年から15年11ヶ月です。
- 12年インターバル : 高値から始まり安値で終わるサイクルで、その長さは約12年2ヶ月から12年8ヶ月です。このサイクルの後には、最低7ヶ月間の上昇が続く傾向があります。
- 8年インターバル : 安値から始まり高値で終わるサイクルで、その長さは約7年9ヶ月から8年2ヶ月です。このサイクルの終わりには、大きな下落が起こる可能性が高いとされています。
これらの長期インターバルは、市場の大きな流れを把握するための指針となるものであり、正確な日柄を予測するものではありません。
基本的な値動き
長期インターバルに加えて、リンジーは「基本的な値動き」という概念を提唱しました。これは、約2年間の上昇と約1年間の下落が交互に繰り返されるパターンを指します。
- 基本的な上昇 : 約2年間続く上昇トレンドで、「3つのピークとドーム型の家」のパターンを含むこともあります。
- 基本的な下落 : 約1年間続く下降トレンドで、短期、中期、長期の3つのタイプに分類されます。
基本的な値動きは、長期インターバルと組み合わせて使用することで、より精度の高い市場予測が可能になるとリンジーは考えていました。
ミドルセクション
リンジーの独自性の高い分析手法として、「ミドルセクション」があります。これは、基本的な上昇トレンドの中で発生する、特定のパターンに基づいた価格変動を指します。ミドルセクションは、上昇ミドルセクションと下降ミドルセクションの2種類に分けられます。
ミドルセクションの特徴的な点は、その中の値動きが一定の期間で繰り返される傾向があることです。リンジーは、この期間を測定し、過去のデータと比較することで、将来の市場の転換点を予測しようとしました。
3つのピークとドーム型の家
リンジーの代表的な分析手法として、「3つのピークとドーム型の家」のパターンがあります。これは、市場の天井圏で形成される特徴的な価格変動パターンであり、以下の要素で構成されます。
- 3つのピーク : ほぼ同じ高さの3つのピークが形成されます。
- 分断された下落 : 3つ目のピークの後、それ以前の安値を下回る明確な下落が発生します。
- ドーム型の家 : 分断された下落の後、複雑な上下動を伴いながら、最終的に大きな下落へとつながるパターンが形成されます。
このパターンは、市場の天井を予測する上で非常に有効なツールであるとリンジーは考えていました。
リンジーのタイミングモデル
リンジーは、市場の短期的な変動を捉えるために、「リンジーのタイミングモデル」と呼ばれる手法を開発しました。このモデルは、「107日トップ・トップ・カウント方式」と「安値・安値・高値カウント」という2つの要素を組み合わせたものです。
- 107日トップ・トップ・カウント : 過去の重要な高値から107日後を起点として、その前後5日間に市場の天井が形成される可能性が高いという考え方です。
- 安値・安値・高値カウント : 2つの安値の間隔を測定し、同じ期間が経過した後に高値が形成される可能性を予測する手法です。
これらの手法を組み合わせることで、リンジーは市場の短期的な転換点を高い精度で予測できると考えていました。
結論
ジョージ・リンジーのテクニカル分析手法は、長期的なサイクル、基本的な値動き、ミドルセクション、そして「3つのピークとドーム型の家」といった独自の概念に基づいています。これらの手法を駆使することで、彼は株式市場の変動を捉え、将来の動向を予測しようとしました。
リンジー分析手法と現代テクニカル分析の共通点と相違点
リンジーの分析手法は、現代のテクニカル分析と多くの共通点を持つ一方で、いくつかの重要な相違点も存在します。
共通点
- チャートパターン分析 : リンジーも現代のテクニカル分析も、価格チャートに現れるパターンを分析し、将来の価格動向を予測します。 リンジーの代表的な分析手法である「3つのピークとドーム型の家」は、特定のチャートパターンを識別することで、相場の天井を予測します。
- 時間要素の重視 : リンジーの分析手法は、時間要素、すなわち日柄を重視します。 これは、現代のテクニカル分析においても、時間軸に基づいた分析手法が広く用いられている点と共通しています。
- サイクル分析 : リンジーは、市場に存在する一定のリズム、すなわちサイクルを重視していました。 彼はこれを「インターバル」と呼び、特定の日柄間隔における市場の動向を分析することで、将来の転換点を予測しました。 現代のテクニカル分析においても、エリオット波動理論やフィボナッチ分析など、サイクルに基づいた分析手法が用いられています。
相違点
- 長期的な視点 : リンジーは、現代のテクニカル分析に比べて、より長期的な視点で市場を分析していました。 彼は、数年単位のサイクルを分析することで、市場の大局的な動向を捉えようとしていました。 一方、現代のテクニカル分析では、短期的な取引を目的とした分析手法が多く、日足や時間足チャートを用いた分析が主流となっています。
- 複雑なカウント : リンジーの分析手法は、複雑な日柄カウントを特徴としています。 例えば、「3つのピークとドーム型の家」では、ベースの形状や5波の反転などの要素を考慮しながら、正確な日柄をカウントする必要があります。 この複雑さは、現代のテクニカル分析ではあまり見られない特徴です。
- 主観的な解釈 : リンジーの分析手法は、ある程度の主観的な解釈を必要とします。 例えば、「キーデイト」と呼ばれる起点となる日の決定には、分析者の経験や判断が求められます。 一方、現代のテクニカル分析では、指標や計算式に基づいた客観的な分析手法が重視される傾向があります。
まとめ
リンジーの分析手法は、長期的な視点と複雑な日柄カウントを特徴とし、現代のテクニカル分析とは異なる側面を持っています。しかし、チャートパターン分析や時間要素の重視など、現代のテクニカル分析と共通する部分も多く、その分析手法は現代においても参考になる価値があると言えるでしょう。
相場の黄金ルール 目次と内容
第1部 リンジーの経歴と『ジ・アザー・ヒストリー』(もうひとつの歴史)
第1章 リンジーの経歴
- ジョージ・リンジーの生涯 : 幼少期から晩年までのリンジーの生涯を辿り、彼の投資哲学に影響を与えた芸術家としての経験や、独自のマーケット観について解説する。
第2章 もうひとつの歴史
- テクニカルの歴史 : リンジーの唯一の著書『ジ・アザー・ヒストリー』で展開された「テクニカルの歴史」という概念を紹介し、歴史的出来事における周期性と、その分析手法について解説する。
- 物理的なアジテーション : 政治的混乱や戦争といった物理的なアジテーションを起点とした歴史的サイクルの分析とその具体例を紹介する。
- 感情的なアジテーション : 宗教や思想といった感情的なアジテーションを起点とした歴史的サイクルの分析とその具体例を紹介する。
- 創造的な集中 : 芸術作品の集中発生といった創造的なアジテーションと、それに続く歴史的サイクルの関係性について考察する。
- Mパターン : リンジーが晩年研究していた歴史におけるMパターンという理論を紹介し、その特徴と歴史的出来事との関連性について解説する。
第2部 3つのピークとドーム型の家
第3章 ある現象
- 3つのピークとドーム型の家 : リンジーが提唱したチャートパターン「3つのピークとドーム型の家」の概要と、その基本的な構造について解説する。
- パターンの特徴 : 急激な上昇と長い揉み合いを特徴とする、このパターンの視覚的な特徴を説明する。
- 変形パターン : ブル相場やベア相場におけるパターンの変形例と、その解釈について解説する。
- 反転モデル : ドーム型の家が3つのピークの前に現れる反転モデルと、その希少性について説明する。
第4章 3つのピーク
- 3つのピークのパターン : 3つのピークとドーム型の家の前半部分である3つのピークのパターンについて、具体例を交えながら詳細に解説する。
- ピークの特徴 : 各ピークの形状、価格レンジ、押し目の深さといった特徴を説明する。
- 1947年の3つのピーク : 具体的な事例として、1947年の3つのピークを分析し、変則的な下落の原因を探る。
- 分断された下落の重要性 : 3つのピークの後に現れる「分断された下落」が、ドーム型の家への転換点となることを説明する。
第5章 ドーム型の家
- ドーム型の家 : 3つのピークとドーム型の家の後半部分であるドーム型の家について、構成要素ごとに分けて解説する。
- ベース : ドーム型の家の前に現れるベース(揉み合い)の形状、期間、対称性について解説する。
- ドーム型の家の期間 : ベースの底からドーム型の家の天井までの標準的な期間と、その例外について説明する。
- 1階の壁 : ベースの後に現れる急激な上昇である「1階の壁」の特徴と、その重要性について解説する。
- 1階の屋根 : 1階の壁の後に現れる5波の反転パターンである「1階の屋根」の特徴と、そのバリエーションについて説明する。
- 2階の壁 : 1階の屋根の後に現れる急激な上昇である「2階の壁」の特徴を説明する。
- 円屋根 : ドーム型の家の天井部分を形成するヘッド・アンド・ショルダーズ・トップの特徴と、その後の下落について解説する。
第6章 3日方式
- 3日方式の概要 : 3つのピークとドーム型の家を使ってベア相場の底の水準を算出する「3日方式」について解説する。
- 計算方法 : ピーク3、分断された下落の底、ドーム型の家のトップといった3つのポイントを使って、底の水準を計算する手順を説明する。
- 変形モデル : 3つのピークとドーム型の家の3つの変形モデルと、それぞれの計算方法について解説する。
- 複雑なドーム型の家 : 1階の屋根の中に別の3つのピークとドーム型の家が出現する複雑なパターンの場合の計算方法を説明する。
- 3日方式の注意点 : 3日方式の精度、適用できるパターン、注意点について解説する。
第3部 リンジーのタイミングモデル
第7章 リンジーのタイミングモデルの概要
- タイミングモデルの目的 : マーケットの天井を探すためのタイミングモデルについて、その目的と基本的な仕組みを解説する。
- 107日トップ・トップ・カウント : キーデイトから107日後に天井が出現するという理論と、その誤差範囲について説明する。
- 安値・安値・高値カウント : 2つの安値間の期間と同じ期間後に高値が出現するという理論と、その使い方を説明する。
- モデルの特徴 : 過去の変動に注目することで、アナリストのプレッシャーを軽減できるというメリットを強調する。
第8章 キーデイト
- キーデイトの重要性 : 107日カウントの開始点となるキーデイトの重要性と、その探し方について解説する。
- キーレンジ : キーデイトを含む価格レンジの特徴と、2つのタイプ(コンパクトなトップとメジャーなトップ)について説明する。
- 9つのキーレンジのパターン : ダブルトップ、ダブルボトム、ヘッド・アンド・ショルダーズ、最後の押し、沈んだキーレンジ、イレギュラーなトップ、複数のキーデイトといった9つのパターンを、図解と具体例を交えながら詳細に解説する。
第9章 安値・安値・高値カウント
- 安値・安値・高値カウントの役割 : 107日カウントを確認するために使われる安値・安値・高値カウントの仕組みと、その精度について解説する。
- カウント方法 : 2つの安値間の期間を数え、同じ期間後に高値を予測する方法を説明する。
- 安値の選別 : 重要な安値とマイナーな安値を区別し、適切な安値を選んでカウントすることの重要性を強調する。
- カウントの記録 : 重要な安値とマイナーな安値を記録し、そこから派生するカウントをリストアップする方法を説明する。
第10章 カウントを組み合わせる
- カウントの組み合わせ : 大きな下落を予測するために、107日カウントと安値・安値・高値カウントを組み合わせる方法について解説する。
- クラスター : 複数のカウントが集中する「クラスター」とその重要性を説明する。
- 重要なカウントと重要でないカウント : 大きな下落を予測するためのカウントの組み合わせと、下落の強さの判断基準について解説する。
- 安値・安値・高値カウントの独立性 : 複数の安値・安値・高値カウントが一致する場合、107日カウントによる確認が不要となるケースについて説明する。
- トレーディングレンジ : 複数のカウントが近い日にちに集中する場合、価格がレンジ相場を形成し、その後ブレイクが起こる可能性について解説する。
- メジャーなトップの分析 : 具体例として、1961~1962年のメジャーなトップを分析し、カウントの組み合わせと価格変動の関係性を示す。
- 累積騰落ラインとの組み合わせ : 107日カウントと安値・安値・高値カウントを、累積騰落ラインと組み合わせて使う方法について解説する。
第4部 カウント
第11章 長期サイクルとインターバル
- 長期サイクル : 1949~1968年のダウ平均のチャートを用いて、長期的なサイクルとインターバルの関係を分析する。
- 長期インターバル : 8年、12年、15年といった長期インターバルの特徴と、それらを使ってマーケットの転換点を予測する方法について解説する。
第12章 基本的な値動き
- 基本的な値動き : 標準期間とも呼ばれる、さまざまな期間の上昇相場と下落相場のパターンについて解説する。
- 基本的な上昇 : 約2年間の上昇相場のバリエーションと、その後に続く下落相場との関係性を説明する。
- 基本的な下落 : 約1年間の下落相場のバリエーションと、その特徴を説明する。
- 横ばい : 上昇トレンドと下落トレンドを中断する「横ばい」の特徴と、その後の動きについて解説する。
第13章 ミドルセクションからのカウント
- ミドルセクション : 上昇トレンドを中断する2つの反動である「ミドルセクション」の特徴と、その種類(上昇ミドルセクションと下降ミドルセクション)について解説する。
- カウント方法 : ミドルセクション内の特定のポイントから、次の転換点までの期間を数える方法を説明する。
- 標準期間との比較 : ミドルセクションからのカウントと標準期間を比較することで、より精度の高い予測を行う方法を解説する。
第14章 ケーススタディ―1960年代
- 1960年代のダウ平均分析 : 1960年代のダウ平均のチャートを用いて、リンジーの理論を具体的に適用し、その有効性を検証する。
- 1961年の高値 : 3つのピークとドーム型の家、107日カウント、安値・安値・高値カウントを使って、1961年の高値を分析する。
- 1962年の安値 : 二次的な安値、15年インターバル、12年インターバルを使って、1962年の安値を分析する。
- 1966年の高値 : 3つのピークとドーム型の家、107日カウント、安値・安値・高値カウントを使って、1966年の高値を分析する。
- 1966~1968年の動き : ミドルセクション、標準期間、長期インターバルを使って、1966年から1968年にかけての複雑な動きを分析する。
付録
- 用語集 : 本書で用いられている専門用語の定義をまとめた用語集。
相場の黄金ルールのレビューと評価
おもにアメリカamazonのレビューから
肯定的なレビュー
この書籍に対する肯定的な意見は以下の通りです。
- この本は、複雑で詳細なリンゼー氏の研究を、わかりやすく、アクセスしやすい形でまとめた貴重な資料であると評価されています。
- 著者であるカールソン氏は、リンゼー氏の数十年にわたる人生、仕事、彼を知る人々のコメントを徹底的に調査し、整理した上で、彼のアイデアや理論の進化と目覚ましい成果の貴重な年表を作成したとされています。
- リンゼー氏の研究の背景にある考えを丁寧に説明し、多くの表、グラフ、チャートを用いてそれらをわかりやすく示していると評価されています。
- この本は、リンゼー氏の研究に関する包括的で洞察力に富んだ、有益な情報源であるとされています。
- 市場分析の歴史家として高く評価されているボリンジャー氏やシャーデ氏などから資料を入手し、それらを収集、整理、要約して読みやすい形にまとめた著者の功績を称える意見があります。
- 1960年代初頭からリンゼー氏とその研究に関する情報を求めていた人にとって、この本はこれまでで最も完全な資料であると評価されています。
- 株価パターンを視覚的に分析することに興味がある人にとって、この本は優れた選択肢であり、時間を費やす価値があるとされています。
- リンゼー氏は、現代でも通用する予測を行った、彼の時代の伝説的人物であり、この本は株式市場で利益を得るための正しい知識を得るための事実を提供するものであると評価されています。
- リンゼー氏の研究を理解しやすくするために、著者は広告業界でのデザイン、シカゴ商品取引所での勤務、第二次世界大戦中のマクドネル・ダグラス社でのエンジニアとしての経歴など、リンゼー氏の多岐にわたる背景を辿っています。
- リンゼー氏は、1982年の弱気相場の底を8か月前に予測し、1987年8月に市場の頂点を予測したことで、1980年代に悪名が高まりました。
- この本は、市場のサイクルや反復的な価格パターンを深く研究したリンゼー氏の生涯、時代、象徴的な業績を明らかにしたものであると評価されています。
- 豊富な視覚資料を用いて、リンゼー氏の分析パターン、方法、テクニック、タイミングモデルを、すべてのアナリスト、投資家、トレーダーが容易に応用できるように、わかりやすく説明していると評価されています。
- リンゼー氏の有名な「3つの頂点とドームハウス」パターンに加えて、他の主要なテクニックについても、わかりやすく説明していると評価されています。
- 市場テクニシャン、歴史愛好家、投資に興味のある人すべてに、この素晴らしい本を購入することを勧める意見があります。
- リンゼー氏の「3つの頂点とドームハウス」パターンと「リンゼー・タイミング・モデル」に関する研究は、株式市場分析ツールボックスに多大な価値をもたらすと評価されています。
- リンゼー氏の研究(コンピューター以前のもの)が、今日の「新しい」テクニカル分析ツールと非常によく結びついていることを示す、興味深い本であると評価されています。
- この本は、市場の天井パターンと底パターンを研究するトレーダーにとって素晴らしい本であり、強くお勧めできると評価されています。
- この本には豊富な情報が含まれており、株式市場の初心者でなくても、非常に興味深い内容であると評価されています。
- リンゼー氏の概念の複雑さを理解しやすい形式にまとめた、素晴らしい研究であると評価されています。
- 近年、特定のテクニカルフォーメーションに多くの名前が付けられていますが、「3つの頂点とドームハウス」という概念は、多くの人が口にするものの、実際に理解している人はほとんどいない象徴的な名前となっています。
- 著者は、独特な個人的および職業的行動と思考を持つ開発者、ジョージ・リンゼー氏への認識と理解を高めるという学術的なアプローチをとっています。
- リンゼー氏の概念の複雑さを理解するために、さらなる研究が必要となるでしょう。
- リンゼー氏の方法を理解し、適用するには、規律が必要となる、複雑な市場分析システムのエッセンスを凝縮した本であると評価されています。
- リンゼー氏の方法は、既存の市場分析やトレーディングシステムプロセスに重ねたり、統合したりすることで、追加のタイミングと方向性のコンテキストを提供するのに適しているとされています。
- 1970年代の長期弱気相場を経験したリンゼー氏の方法は、再び時宜を得たものとなっているとされています。
- 1966年からリンゼー氏の生徒でありファンである著者は、カールソン氏の著書が、リンゼー氏の予測テクニックを非常に読みやすく、現実的な、統合された形で14章にまとめた素晴らしい仕事であると評価しています。
- リンゼー氏の「3つの頂点とドームハウス」チャートフォーメーションはテクニカル分析の専門家にとって価値のある知識であり、彼の市場サイクルに関する研究は、市場の大きな動向を特定し、それらに便乗するのに役立つと評価されています。
- 経験豊富な投資家にとっても、この本は有用なツールとなり得るとされています。
- この本は、現在市場に適用できる優れた本であると評価されています。
これらの肯定的な意見は、この書籍がリンゼー氏の研究とその応用について、包括的かつ洞察力に富んだ情報を提供する貴重な資料であることを示唆しています。
否定的なレビュー
この書籍に対する否定的な意見は以下の通りです。
- この本は2011年に出版されましたが、本の中で言及されている最新の例は1960年代のものであり、著者は1980年代の強気相場、ドットコムバブルの崩壊、2008年の金融危機など、最近の出来事に対して仮説を検証していません。
- ジョージ・リンゼーは、彼のニュースレターで複数のルールやガイドラインをいくつかの例とともに発表しました。この本では、これらのルールと全く同じ例が繰り返されています。著者は、リンゼーが仮説を導き出すために使用したのと全く同じ例を示しているだけで、著者自身による例は一つもありませんでした。テクニカル分析の本は、提示された仮説の例と検証を提供する必要があるとされています。基本的には、リンゼーの理論を批判的に検証した本というよりは、歴史書であるとされています。
- チャートやグラフの質が非常に悪く、レトロな雰囲気はありますが、テクニカル分析の本としては役に立ちません。
- 本には、明らかに仮説の例をリストアップした表が複数ありますが、1910年10月18日のピーク1、1911年2月4日のピーク2、1911年6月19日のピーク3のようなデータエントリを見るだけでは役に立ちません。34.99米ドルの価格で2011年に出版された本としては、これは受け入れられないとされています。
- 著者は、リンゼーの混沌とした思考、カウント、パターン、信念を説明するために最善を尽くしましたが、リンゼーは取引を行わず、延々とバックテストをしてパターンを探していただけで、20年以上にわたって投資家向けにニュースレターを書いていましたが、彼の意見やパターンに従って成功したという話は知られていません。
- リンゼーの主な功績は、「3つのピークとドームハウス」のチャートパターンと、このパターンのピークからボトムまでの日数を「発見」したことですが、このパターンでどのように投資したり、取引したりするのか、全くわかりません。著者は、このパターンが数ヶ月、6ヶ月、あるいは数年ずれることがあることを認めており、また、リンゼーが間違っていたため、多くのカウントを修正しなければならなかったことも認めています。
- リンゼーが本当に達人であったなら、彼に従うためには彼のニュースレターが必要だったでしょう。この本は、明確なエントリーシグナル、エグジットプラン、ポジションサイズ、あるいはこのパターンを正確にどのようにトレードするかなどがなく、混沌としています。13年以上成功し、活動しているトレーダーとして、この本は、トレーダーや投資家が高確率なシステムを見つけるのではなく、バックテスターがランダムなパターンを見つけるような感じがします。
- この本は、リンゼーの風変わりな個性と、彼の株式市場分析方法を客観的に見ていますが、著者の経験では、成功するテクニカル分析には、芸術よりも科学に近い体系的なアプローチが必要であるとされています。新しい投資家にとって、この本は装填された銃のようなもので、素晴らしいツールになるかもしれませんが、注意しないとポートフォリオを木っ端微塵に吹き飛ばしてしまう可能性もあります。
- この本から、実用的なトレーディングシステムを作るのに十分な情報をまとめることができませんでした。多くの株価パターンの主観的な解釈がありますが、トレーディング戦略を構築できるような一貫性のあるものは見当たりませんでした。
- 市場を取引するための本、特に「テクニカル分析の芸術」に焦点を当てた本は、エントリー/エグジットポイント、リスク/リワードメトリクス、ポジションサイズ、ポートフォリオ内の他の商品との相関関係など、あらゆるトレーディングシステムの非常に基本的な要素を説明しなければなりません。この本は、著者がこの本の基礎としている有名なリンゼーのアプローチについて、上記のいずれも提供していません。
- この本は、36/40/56年のサイクルに基づいていると思われる「方法」を提供していますが、このアプローチに基づいて意味のある結果を得るためには、6つ以上のデータポイントを自分で収集するために、生き続けたいと思っていますが、自然には他の計画があるかもしれません。非常に少数の「正しい」コールに依存し、それを正確なシステムとして外挿するのは誤解を招くものであり、もしそのアプローチの全く非論理的な性質がなければ、これはコミカルな読み物になるでしょう。
- この本の問題は、ボラティリティが高く、ダウ平均株価が400~500ポイントも変動するのが当たり前の現在の市場に適用できないことではありません。この本の問題は、リンゼーのシステムでもないし、もし存在したとしても、この本の本当の問題は、提案者が文書化していないことを認めた上で、何かを説明しようとし、読者にこの本を「トレーディングシステム」として解釈することを期待しているという、誤った試みです。
- 著者自身が「...墓場まで持っていった...」と認めているシステムについての本を書くという試みには1つ星、光り輝くレビュー(ほとんどが彼らが書いた唯一のレビュー)と、批判的なレビューに対する著者の公の反応には2つ星です。
- この本は、ロバート・プレクターがR.N.エリオットの波動原理を紹介した作品よりも理解しにくいものです。代わりに、マーフィーの「Technical Analysis of the Financial Markets」を試してみてはいかがでしょうか。
- 資本を大きく失う可能性のある主観的なミスを1つでも犯すと、あまり役に立たなくなってしまいます。この本の主題は失敗です。
これらの否定的な意見は、この本がリンゼーの理論の実用性と、著者の説明の明確さについて疑問を投げかけていることを示しています。
この本の読者像
この本は、ジョージ・リンゼーの理論や分析手法に興味があり、テクニカル分析を深く理解したいと考えている読者に向いています。特に、以下の特徴を持つ読者にとって有益な情報源となるでしょう。
- リンゼーの「Three Peaks and a Domed House」パターンを深く理解したい人 : このパターンはリンゼーの代表的な分析手法であり、本書では多くのページを割いて解説されています。
- 市場のサイクルやタイミングに興味がある人 : リンゼーは市場のサイクルとタイミングを重視した分析手法を展開しており、本書ではそれらの詳細が解説されています。
- 歴史的な市場分析に興味がある人 : 本書では、リンゼーの分析手法を過去の市場データに適用した例が豊富に紹介されています。
しかし、本書は初心者向けの入門書ではありません。リンゼーの分析手法は複雑であり、本書も専門的な内容を含んでいます。そのため、テクニカル分析の基礎知識がない読者にとっては理解が難しい可能性があります。
また、本書に対する否定的な意見の中には、「リンゼーの手法は時代遅れであり、現代の市場には適用できない」というものも存在します。 一方で、「リンゼーの手法は現代でも有効である」と主張する肯定的な意見も存在します。
読者はこれらの意見を踏まえ、本書の内容を批判的に検討する必要があります。
特に、いくつかのレビューでは、本書の分析対象が1970年以前のデータであることが指摘されています。 この点を考慮すると、本書は現代の市場分析に直接的に役立つというよりは、歴史的な視点から市場のサイクルやパターンを学ぶための参考資料として捉える方が適切かもしれません。
読者が注意すべき点
- 本書はリンゼーの理論や分析手法を包括的に解説することを目的としており、具体的なトレード手法や投資戦略を提示するものではありません。
- リンゼーの分析手法は複雑で、解釈に幅があるため、読者自身の判断と解釈が重要となります。
- リンゼーの理論や分析手法は、現代の市場においても有効であるかについては、議論の余地があります。 読者は、本書の内容を鵜呑みにするのではなく、他の情報源と比較検討しながら、自身の投資判断に役立てることが重要です。
著者について
エド・カールソン(Ed Carlson)は、シアトルを拠点とする独立系トレーダーであり、テクニカル分析の専門家(CMT)として知られています。彼は、ジョージ・リンゼーのテクニカル分析手法を詳述した『George Lindsay and the Art of Technical Analysis』の著者でもあります。この書籍では、リンゼーの「3つのピークとドーム型の家」モデルや「リンジーのタイミングモデル」などの手法を現代の市場でどのように適用できるかを解説しています。
- ファイナンシャルセンス : カールソン氏はシアトル・テクニカル・アドバイザーズ(Seattle Technical Advisors)のウェブサイトを運営し、日々の市場分析やコメントを提供しています。
- CMT Association : 彼はマーケット・テクニシャンズ・アソシエーション(MTA)のポッドキャストシリーズ「Conversations」のホストも務めており、テクニカル分析に関する洞察を共有しています。
- インフォミット : カールソン氏は、20年以上にわたり株式ブローカーとしての経験を持ち、ウィチタ州立大学でMBAを取得しています。
相場の黄金ルールの概要とレビュー:まとめ
- ジョージ・リンジーのテクニカル分析手法をエド・カールソンが解説した本
- リンジーの代表的なパターン「3つのピークとドーム型の家」を詳細に紹介
- 「3つのピークとドーム型の家」は市場天井のサインとされる
- 長期サイクルや日柄のカウントを重視する分析手法
- 現代の複雑な分析とは異なり、シンプルで理解しやすい手法
- 市場の心理や投資家行動を分析の中心に据えている
- 長期視点から市場を捉えることの重要性を説く
- 現代でもリンジーの手法は有効とカールソンが主張
- 手作業で分析可能なため、初心者にも取り組みやすい
- 15年・12年・8年サイクルのパターンを活用する
- 市場のリズムやサイクルに基づき転換点を予測する
- 相場の変動を繰り返すパターンとして捉える視点が特徴
- 歴史的出来事の周期性にも注目した分析法を用いる
- 1960年代から1980年代の市場に通用した理論
- 現代市場にも応用できる歴史的テクニカル分析を示す